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4th Album『LIFE』

2014年7月4日発売
PYYI-0024

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収録曲
01.Lifetime
02.少しばかり旅に出る
03.野音
04.釜揚げしらす
05.オレンジ
06.窓辺のパフィオ
07.旅回り薬売り
08.平均点以下
09.遠くにいても
10.ポテト

収録曲解説

「自分の中の感度を上げる」「挑戦し続ける」「言葉とリズムを整理する」。
レコーディング前のミーティングでプロデューサー田中佑司が井上に提示したテーマは、この3つだった。

Great3片寄明人プロデュースによる『LOVEBIRD』、NHKみんなのうたカバー・アルバム『HOME』以来2年ぶり、オリジナルとしては3年ぶりとなる4thアルバム『LIFE』は、継続的にリリースを重ねているライブ会場限定販売手作りCD「ゆうのはね、ゆうのほね」シリーズや、未CD化の曲たちから選んだ10作品を収録。先行シングル「釜揚げしらす/窓辺のパフィオ」「オレンジ」以外7トラックのプロデュースは、元くるりのドラマーでありキーボーディスト、現在はbonobosのサポートなどでひっぱりだこの田中佑司である。

井上が数年来ライブで共に音を出しているエビマユヒラタ(Dr.海老原 諒、B.日高真夢、G.平田 崇)と録音した「オレンジ」、音楽学校時代の恩師である高橋 研アレンジの「窓辺のパフィオ」、若きギタリスト前島 風アレンジによる「釜揚げしらす」という、ここまでのキャリアを総動員したシングル曲に対し、残る7トラックは田中佑司、平田 崇、井上 侑の3人だけでレコーディングがなされた。最初に示された3つのテーマに沿ったプリプロダクション、ボーカル・ディレクション、そして平田 崇のギター録音と、田中佑司によるキーボードを録り終えたのちに、リズム隊(ドラムス&シンセ・ベース)や上モノを録り、最後にボーカル録音という順番で、かつどのパートも多くて3テイクという驚異的な集中力を発揮し三日間でレコーディングされた曲たちは、今までの井上 侑ワールドをグワッと拡げながらもギュギュギュッと濃縮し、新鮮さとパワーと味わいに満ちたものになった。

ここで突然だが、話は田中佑司の高校時代に飛ぶ。彼の母校では “強行遠足”と名付けられ、20数時間を費やし約105キロを歩く行事が80数年間も続いているそうだ。この話を聞いたのはまさに『LIFE』のマスタリング直前、エンジニア阿部さんの部屋でだったのだが、高校のホームページには“強行遠足”について今でもこう記されている。

「敢えて強行遠足と名づけたのは、自分の体力に応じて歩けるだけ歩くことに事を強調せんがためであった。由来人情の弱点は安易なものとの妥協である。歩く場合も少し疲労を感ずると乗物の事を考えるか或いはさして苦痛を感じないのに中途において止めてしまうことになり、これら一切の妥協と怠慢を排して精根限り歩くと言うことを重視したところからくる」
「その希有で貴重な体験は、生徒の心身に深く刻み込まれ、一生を通じて卒業生の大きな心のよりどころとなっています」

あれ? なんだ? もしかしたら、田中佑司が高校時代の強行遠足を通して得て、その後の人生の大きな定礎としてきたことと、井上 侑が長い時間をかけて『LIFE』に収めた曲達を描き、アルバムとして作り上げることでもらったものは、とても近しいのではないだろうか。

それはきっと生きることそのものだ。

いつまでも大切に胸に抱いておくべき「挑戦」であり、「チカラ」であり、「感動」なのだ。

[ライナーノーツ]
01:Lifetime
井上のiPhoneで録音された、ある朝の風景。お腹をすかせた猫のチョコが鳴き、窓の外には飛行機が飛んでいる。
Recording:井上 侑
Mix:原 真人

02:少しばかり旅に出る
平和への強い願いを込めて、武将の末裔である主人公が戦国時代へタイムスリップし、現代の世直しのために名将や姫君を呼び寄せるという痛快チューン。サウンドは80年代ロックの珠玉のエッセンスが散りばめられ、ツアー中の機材車で聴いたりすると、とてつもなく高揚する。
Guitars:平田 崇
Drums, Keyboards:田中佑司
Recording & Mix:原 真人

03:野音
更に加速するドラム、ギター、キーボード、シンセベースに、こちらの心音も早まっていく。音楽好きにとってはある種特別な場所でもある野音での、切なすぎる恋心を綴った歌詞と、時に少年のように、時にはラジオ・ボイスで届くボーカルやコーラスの刺激が絶妙のマッチングだ。
Guitars:平田 崇
Drums, Keyboards:田中佑司
Recording & Mix:原 真人

04:釜揚げしらす
台所のトレイに残った数匹のしらすを見て「もったいない」と思ったこと、高速のパーキングで「魚の霊柩車」と書かれた冷凍車を見たことなどから生まれた、生きることへの身近で素朴な賛歌。ショッピングモールでのライブの物販には今も、通りすがりのおばあちゃんが「しらす一枚くださいな」と並んでくれる。
Piano:井上 侑
Recording, Mix, Arrange, Synthesizer & Guitars:前島 風

05:オレンジ
井上 侑の楽曲の多くには、今まで生きてきた時間、出逢えた人たちへの感謝の気持ちが溢れている。つまるところ、どうやらそれが背筋を伸ばして生きていくことへのチカラとなっているみたいだ。ビビリだけど、弱っちいけど、泣き虫だけど、頑張れる。たぶん、これからもずっと。
Piano:井上 侑
Guitars:平田 崇
Bass:日高真夢
Drums:海老原諒
Recording, Strings Arrange & Synthesizer:前島 風
Mix:北城浩志

06:窓辺のパフィオ
2月に東京ドームで開催された「世界らん展日本大賞」のイメージソングとして約半年をかけて、でも描き始めたら3時間もかからずに生み出された曲。実は生きるチカラと知恵に満ちた蘭の生態系を知るにつれ、主人公の人生と可憐なパフィオの佇まいが重なっていったのだろうか。
Piano:井上 侑
Recording, Arrange, Programming, Blues Harp & Guitars:高橋 研
Mix:北城浩志

07:旅回り薬売り
母さんが山草で作った薬を、父さんが一年中気球に乗って届けてまわる。父さんに会えないのは寂しいけれど、待っている人たちに喜んでもらえることがうれしい。そんな少年と両親のことを思い描き、井上が小学校の頃に書いたという作文が元になったストーリー。素晴らしすぎる。
Guitars:平田 崇
Drums, Percussions, Keyboards:田中佑司
Recording & Mix:原 真人

08:平均点以下
夢がある。変わりたいと思う。朝走りに行こうって決めてたのに、今日も昼過ぎまで寝てしまった。そんな高校生の男の子を描いた、可愛らしくも染みる曲。全部が自分次第だってわかっている。だからまずは部屋を片付けよう。Flowers are beginning to bloom!
Guitars & Mandolin:平田 崇
Drums, Keyboards:田中佑司
Recording & Mix:原 真人

09:遠くにいても
今ではライブ後半の「盛り上がるゾーン」に欠かせない曲となったアップ・チューン。素朴だけれど愛情に満ちた家族と、小さな家。ひいじいちゃん、ひいひいばあちゃん、ひいひいひいじいちゃんたちはどうやって出会い、どんな家で、どんな風に暮らしていたのだろうか。
Theme Piano:井上 侑
Guitars:平田 崇
Drums, Keyboards:田中佑司
Recording & Mix:原 真人

10:ポテト
「侑ちゃんって“得意料理は、粉ふきいも”って言いそうなタイプだよね」2009年のラジオ出演時にサニチルのshihoさんが発したひとことがきっかけとなって生まれた「ポテト」。隣町のみくちゃんも、おしゃべり毛虫のジュン蔵くんも、ぼくがぼくらしく生きている限り、ずっと友達だ。
Guitar:平田 崇
Piano:田中佑司
Recording & Mix:原 真人

Text:チーム井上 侑♪


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